新連載エッセイ(不定期)★フリーの心得①プロローグ

不定期で連載エッセイを始めることにしました!

テーマは「フリーの心得」です。

フリーランスの先輩方の話を中心にまとめていく予定ですが、

まず第1回はプロローグから。


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フリーの心得


第1回  プロローグ


 ふたたび私は人生の岐路に立ち、ある片方の道を歩みだしていた。ふたたびと表現したのは、人生の折り返し地点に到達するまでに、やはり何度かは岐路に立ち、どちらかの道を進んでいたからだ。ただ今思い起こせば、「人生の岐路に立っていた」と分かるのであって、その当時は右に行くか左に行くか、迷って迷って決断をしたなどという記憶はない。右に行くのが自然な流れで、それ以外の選択肢はなかったと言える。人生とはそんなものだと思う。
 だから今回の岐路も、悩んだ末に選んだ結果ではなくて、ごく自然にそうなっていたというのが正直なところだ。先日、ある人にフリーランスという仕事についたことを打ち明けると、「よくそんな覚悟ができましたね」と言われた。覚悟? 全然、覚悟なんかしていなかった。人から言われて初めて、覚悟しなきゃならないことだと気がついた。
 人生の岐路に話を戻すと、最初に道が分かれたのは、大学の選択だった。これも人から言われてそうだったのかと気がついた。母親の希望する女子大学に進んでいれば、今の私とはおそらく全然違う生活を送っていただろうというのが母の見解だ。人は歳をとってくるととかく過去の話ばかりを持ち出す。いまだ誰にでもその話をしている母を見る限り、私は相当な親不孝をしてしまったらしい。でも当時は女子大に通ずる道なんか見えていなかった。
 次の人生の岐路は離婚という選択をした時だ。でもこの時もその選択しかできなかったのだから仕方がない。実家に戻った私を父は喜んで迎え入れてくれた。しかしその後すぐ、死んでしまった。私はこれで本当の親不孝者になってしまった。
 こうして人生の大きな岐路をいくつか越えて、来年は40歳になる。女性誌ではアンチエイジングがもてはやされ、40代でも輝いていなきゃならないと謳歌している。でも私は健康に過ごせればそれだけでいい。もう多くは望まない。それが人生の折り返し地点に近づいた今の心境である。

 さて、フリーの心得というテーマで筆をとることにした。フリーランスは会社という組織に守られない、私にとって人生初めての立場だからだ。時にそれは自分に対しての啓発であったり、なぐさめであったり、もしかすると単なる憂さ晴らしかもしれない。多くのフリーランスの先輩方から聞いた話や教えていただいたことをまとめてみたい。フリーランスの記者にとって一番大切な、物事を公平に見られる目を忘れないためにも。


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