Sさんへの手紙

Sさんへ

 
 今のあなたは、昔の私を見ているようでハラハラしています。


 でも私はあなたに何もアドバイスできる立場ではないことを心得ています。人生の少しだけ先輩として、何か言ったほうがいいのか、何も言わないほうがいいのか。きっと何か言ったところで他人の話なんて聞き入れないことは私も経験して分かっていますので、何も言わないことにします。

 
 だからせめて手紙を書きます。


 
 Nさんは誰が見ても美人で聡明だと思います。だからSさんに限らず、Nさんの魅力に心が揺らぐのはごく自然なことでしょう。


 しかしNさんから注がれる今の愛情は果たして本物でしょうか?いや、それが本物かどうかなんて、当然当人たちにしか分からないものです。仮にあらゆる壁を乗り越えたとしても、犠牲にしたものが大きければ大きいほど、真の幸せは手に入るものではありません。


 私が人生で犯してしまった罪を、せめて自分の周囲の人には同じ道を歩まないようにしてほしいのです。


 今ならまだまだ、自分を引き留めることができますよ。

紙の勉強会

今日は写真用の紙のメーカーによる勉強会に参加しました。


これも写真展のための準備のひとつです。


写真展ではプリントや額装も自分でやらなければならず、紙についてはまったく知識がなかったので、かなり勉強になりました。


早く出品する作品を決めないと…。


紙選びも、とても奥が深いです。

ボランティア

私は今、ある広報誌の製作に携わっています。これは完全なボランティアです。


本業と同じことをやって報酬なし、ということを受け入れるのに最初は悩みましたが、私の経験が何かの役に立つのならと思いお手伝いすることにしました。


何度も打ち合わせをして、それなりに時間をかけて作っているので、出来上がったときには是非多くの人に見てもらいたいと思います。

エッセイ 「母と娘」

アラサーの6割が母親から料理を習っていないという記事が新聞にあった。私はアラサーではないけれど、まさしくその一人だ。


40歳を過ぎた今でも料理が下手な理由は、そこにある。まだ台所は母親のものだからだ。


私が大学生のとき、「台所を勝手に使われると困る」と母からはっきり言われた。それがトラウマとなり、私が積極的に台所に立つことはなくなった。


私の母がそこまで台所という場所にこだわるのは、ある事情がある。


それは父と母との関係だ。


父と母は上手くいってなかったから、母の居場所は台所しかなかった。母は台所で隠れてお酒を飲んでいたし、自分の大事なものはすべて台所に隠していた。私は台所が母の秘密にあふれていることを小さな頃から感じていたし、そこには私が入り込んではいけないと思っていた。


父が他界して10年経った今でも、やはり台所は母の居場所。


私が料理の練習をするには、自分の台所を持つしかない。